Facebook_SNS Twitter_SNS
ワクスタ

ワクスタとは

連載4 学校の勉強と社会人になってからの勉強について。

皐月彩(ワクスタ・ライター)
東京大学教育学部附属中等教育学校卒業後、日本大学芸術学部映画学科に入学。
2017年卒で円谷プロダクションに業務委託として参加し、現在フリーの脚本家として活動中。代表作は『セブンティーンモータース』『ウルトラマンR/B』。

大人になったらやりたい勉強が全くできない問題

大人はいいよなあ、勉強しなくていいから。と、高校くらいまでは思っていました。
大学生になると、大人になれば自分の仕事のことだけを勉強すればいいからいいなあと思っていました。
自分が稼いだ自由なお金で、好きなことを勉強する。それってすごくリッチな体験だなあと。

でも、実際社会に出て働いてみて気づいたことがあります。
「仕事に必要なことを勉強しているうちに、時間が無くなっている」ということ。

私がやっている脚本の仕事だと、特に毎回オーダーによって扱う領域が変わります。
家族ものであれば、介護・育児問題など。推理物であれば、化学・物理・法律。シリーズものであればそのシリーズがこれまでどんなことをやって来たかの調査。
そんなものをどんどん勉強して、とにかくアウトプット(納品)していきます。

納品が終われば次のインプットの時間が取れる!と思うのですが、結局また新しい仕事が入っていたりして、どんどん「趣味嗜好とは違うけれど、勉強しなくてはいけないもの」が積み重なっていきます。
前の仕事でちょっと興味を持ったからもっと掘り下げたい……でも、そんなことしていたら仕事が終わらない!進まない!というジレンマ。

これって、おそらく私とは違う仕事をしている人にも言えていると思います。
営業なら、顧客が同じ業界ばかりとは限りませんよね。時に鉄鋼、時に運送、時にサービス……。お客さんの悩みを理解して自分の仕事にまで落とし込むには、その業界、クライアントの仕事の「いろは」まで勉強している方がいい成果物ができるでしょう。
でも、ひとつの顧客につきっきりになるわけにもいかないから、自動的に広く浅くなる……。

そのうえで習い事などをしている人たちは、本当に効率的な仕事をしている人なのだなあと、身に染みて分かります。

なんとか時間を作ってやってみよう

おそらく、現在学生であってもそういう状況はあるんじゃないかと思います。
自分が勉強したいのは、専攻にどっぷりハマったものだけど、なんだかんだ単位は取らなくちゃいけないし、テストもあるからあまり興味のない分野の勉強もしておかなくてはいけない。
じゃあ、どっぷりハマれるはずだった勉強はどこに行ったんだ!?と。

バイトや友達付き合いもあれば、自分の興味のある分野を障がいなく学べる機会はかなり少ないだろうと思います。

そこで、私が社会人になってようやく編み出した方法が一つ。
「お風呂の中では、自分の好きなことを勉強することにする」という方法です。
あくまでも、湯船につかれる環境がある人限定になりますが……。

お風呂の蓋の上に、本を3冊置いておく。

湯船につかる習慣があっても、今やスマホを持ち込んで過ごすという人も多いのではないでしょうか。
私も、前まではお風呂の中で配信番組を見たりしてリラックスしていました。
でも、いつのまにかその番組を見終わってもSNSを見てしまったりして、大量の時間を水に流していたんですよね。

そこで、私はこのデッドタイムを勉強に使うことにしました。
もともと長く湯船につかっていたい気質なので、家族に迷惑が掛からない深夜帯に。

お風呂に私が持っていくもの。ノート、ボールペン、本3冊、ペットボトル。
本は、今の仕事とは関係のない、単純に「面白そうだと思った本」。
持ち込んだ本一つがやっぱりつまらなくて次の本に移れるように、本は3冊体勢にしてます。

本に夢中になって脱水症状にならないように、水分補給をしながら、とりあえず飽きるまで本を読む。
汗をかいたら、本を洗面所に出して体を洗って出る。出たら寝るか、時間があるなら仕事を済ませる。

創作活動を仕事にしているからか、今やっている仕事とは全く別のジャンルから発想を得ることもあり、かなりためにもなっています。

お風呂以外にも、電車、待ち合わせ時間を有効活用

よく、私が大きなカバンを持っているのをからかって持ち上げてくる人がいます。
そうすると大抵「重っ!? これ、何入ってるの!?」と尋ねられます。

16インチのパソコンとそのバッテリーだけでそこそこ重くはあるのですが、おそらく負担をかけているのは「本」です。
極端な例だとは思いますが、私の鞄にはいつも「辞書」「本4冊」くらいが入っています。
辞書なんて持ち歩かなくても、ネットで検索すればいいじゃん!と言われるのですが、私は、辞書を「読み物」として使っています。

検索すれば、確実にその単語の意味が分かります。
でも、それ以外の情報は入ってこないですよね。
辞書であれば、近い音の言葉も一緒に知ることができるし、意外と1ページ目から知らない言葉をかいつまんで書き出してみると、自分の語彙力がまだまだ足りないことに気づかされます。
普段使っている言葉の意味が、実は違った!なんて赤っ恥体験も。

こういった情報のつまった本を、電車を待っている間、乗っている間、喫煙所、待ち合わせの各所、打ち合わせの待ち時間にずーっと読みます。
気になった情報はすぐにノートにメモ。そこで初めて「検索して深堀りしてみよう」というところに至ります。

ただ家でじっと本を読んでいる時よりも、「ここまでの時間」という区切りがはっきりしているので、集中力も途切れず頭に入ってきやすいことがポイントです。

大変だけど、勉強は、いつでも、どこでもできる。

大人になると、勉強する時間はどっと減ります。
きっと子育てをするようになったら、そんなことしている暇があったら寝たい! 子どもを遊ばせなきゃ! なんて問題も出てくるのでしょう。

だからこそ、少しでも時間のある今を大切に、と私は自分に言い聞かせています。

5分でも、情報を頭に入れられる瞬間を大切にする。
これが、大人になっても勉強し続けられるコツです!

皐月 彩

ライター
皐月 彩

日本大学芸術学部映画学科 2017年卒。 エジプト出身。円谷プロダクション製作の『ウルトラマンジード』の仕上げ進行スタッフを経て、現在はフリーランスの脚本家として映画・アニメ・ドラマの制作にかかわる。

この記事をツイートする この記事をシェアする この記事をLINEで送る